あいのり 第385話
「厚い壁」
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この日、メンバーは、ドイツの首都「ベルリン」にやって来た。昼食のため入ったレストランで、「アイスバイン」と呼ばれる、コラーゲンたっぷりの塩漬けの豚を野菜や香辛料で煮込んだ料理を食べた。この料理、Remiの大好物で、Remiがおいしそうに食べているのを見て、リョウは、Remiに、コラーゲンの塊の部分をあげた。それに対抗して、カルボナーラも、Remiにコラーゲンの部分をあげて、Remiの皿は、コラーゲンだらけになってしまった。

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翌日、ラブワゴン内では、学童保育の宮くんが、まだ、場の雰囲気に慣れていないのか、黙ったまま。そうこうしていると、カルボナーラが心配して、宮くんに話し掛けてきた。<>「そんな静かに座っているだけじゃ楽しくないだろう。」他のメンバーも、宮くんが、会話をしてくれる事を、心待ちにしていた。
トウモロコシ畑が見えてきたとき、宮くんは、「とうもろこしだぁ。めっちゃできとる。」と会話した。しかし、宮くんは、あまり話せないことを悩んでいるようで、「リョウやカルボナーラのトーク力を分けて欲しい。」と日記に記していた。

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翌日、ラブワゴンでは、Remiの隣にリョウが、着席するや否や、カルボナーラも負けずに、Remiの隣に座る。Remiは、2人にサンドイッチされた形になる。
まず、先手を切って、カルボナーラが、Remiと会話する。自分が好きな、THE HIGH-LOWSの話題に持ち込む。しかし、ダニーが、「残酷な天使のテーゼ」を歌い始めると、今度は、「エヴァンゲリオン」に詳しいリョウが、即座に話題を「エヴァンゲリオン」に変えてしまう。カルボナーラは、リョウに先を越された感じになる。

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その夜、リョウは、Remiを呼び出した。本当は、Remiのほうから来て欲しかったのであるが、6日たっても来てくれず、やむなく、リョウのほうから呼び出した。
そして、リョウは、白い薔薇の造花を、「スイスから摘んできた。」ことにしてRemiに手渡す。本当は、ここで決め台詞もあったが、今度にされてしまった。

翌日のラブワゴン、リョウの表情が硬い。それもそのはず、昨日、Remiに渡したはずの白い薔薇が、自身の手にあるのであるから。。。

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(これ以降、恋愛の進行はありません。)

翌日、メンバーは、古い壁のある通りに。この壁は、かつて、「ベルリンの壁」と言われていたもので、かつて、ドイツが、東ドイツ(ドイツ民主共和国)と西ドイツ(ドイツ連邦共和国)とで分断していた頃、東西を分けていた壁の一部である。メンバーもこの壁のことは、薄々知っているようで、Remiからは、「資本主義と共産主義(社会主義)を分けていた。」ダニーからは、「小学生の頃、壊されるのを覚えている。」と言う言葉が出た。

1945年、資本主義を唱えたアメリカと、社会主義を唱えたソ連が対立、戦火が無かった(熱くなかった)ので、冷戦(冷たい戦争)と呼ばれた。東ドイツにあったベルリンのうち、西ベルリンを、アメリカなどの資本主義国、東ベルリンを社会主義国であるソ連が占領した。

数年後、西ベルリンは、豊かになり、生活も良くなった。しかし、東ベルリンは、働いても働いても貧乏になるだけであった。そうするうち、東ベルリン市民は、「西ベルリンに行けば豊かになる。」と考え始め、東ベルリン市民による西ベルリンへの亡命者が多発した。
そのため、東ドイツは、「資本主義の保護」を名目に、東西ベルリンを分断する壁の建設を開始した。実際は、東ベルリン市民を西側に亡命させないようにするためだった。
このような目的のため、壁は、東西ドイツの国境ではなく西ベルリンを取り囲むようにして建設された。西ドイツと西ベルリン間に行き来は、東ドイツ国内を通過する(途中で降車できないようにする。)鉄道、道路、空路のみであった。

壁が作られた事により、家族や恋人等、生き別れになってしまった人も多数いたようである。当時を知る人は、「とある土曜日に、祖母が遊びにきたが、翌日曜日には、東ベルリンに戻った。その後、壁が作られているのをニュースで知った。祖母とは、それ以来、会えなくなった。」

しかし、この壁は、1989年8月、東西両市民によって、突然、破壊されている。その1年後、東西ドイツは統一する事となった。

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あいのり #385

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